がんの早期診断・治療ほか高齢者疾患を中心に地域に根づいたふれあいの医療を目指しています。

当院では新人研修を終了した看護職員らを対象に心に残る看護場面を発表します。
看護を語り胸が熱くなるひとコマです。
"2023年度の「心に残る看護場面」より…

「受け持ち患者さんの急変への対応」
症候性てんかんでけいれん発作がある患者さんが入院してこられました。
呼吸状態が悪化し人工呼吸器が装着されていましたが、呼吸状態が改善したため、私の受け持ちの日に人工呼吸器から離脱し抜管されることになりました。 酸素マスクを装着し、状態観察を行っていましたが、その後脈拍が上昇し血圧が低下。急変が起こりました。
主治医の指示で検査やエコー、内科医師へのコール、多くの口頭による薬剤指示などに困惑し、私は戸惑うばかりでした。 その時、先輩看護師が駆けつけて処置やご家族への連絡を行ってくださり、徐々に患者さんの状態は落ち着いていきました。 呼吸状態も安定し、その後はリハビリを行い療養病棟に転棟していかれました。
急変時にかかわった自分自身の行動を振り返り、知識不足と経験不足を痛感しました。 先輩看護師の方教えてもらい、助けてもらいながらも経験を重ね的確に判断し行動できるようになりたいと思いました。そしてご家族にも目を向け不安が軽減するような働きかけができるように、まずは声をかけることから始めていきたいと思います。

『急変対応の場面を振り返り、今後の課題について明らかにされた発表でした。』
        

「患者さんとのかかわりについて」
看護学校を卒業し1年経ちましたがいろいろな事があり業務についていく事で必死な毎日でした。
Aさんは腎瘻造設術を受けられる患者さんで、私は萩看在学中でようやく一人でOP出しをさせてもらえるようになった頃でした。
手術の当日、自身の不安と知識不足から、不安そうなAさんにどのように声をかけていいか分かりませんでした。 Aさんの表情からは手術だけではなく、受け持ちの私に対する不安も感じられました。手術は無事に終わり、しばらく学校で病院に来ない日々が続きました。 久しぶりにお会いした時Aさんは「手術の時はありがとう」と言って下さいました。Aさんへの気遣いが出来なかった私にそんな言葉をかけてくださり驚きました。 入退院を繰り返されるAさんはお会いするとよくお声をかけてくださいました。「この病棟で一番のお友達なの」と別の患者さんに紹介されたこともありました。 このような関係が築けたのはAさんが私に歩み寄ってくれたからだと思います。 徐々に状態が悪化していたAさんですが、3年生の夏に「いつ卒業なの?」と聞かれ「試験に合格したら来年からは看護師です。 合格したらお祝いして下さいね。」と答えると、涙声で「頑張らないとね」と言われました。私に対する激励の言葉だと思っていました。
しばらくして市報でAさんがお亡くなりになったことを知りました。その時、あの言葉はAさんご自身に対する言葉だったのだと気付きました。 私と話す時にはいつも笑顔で「大丈夫よ」と言われていたAさん。無理して見せている表情の情報しか見ていなかったのだと思いました。 手術の時と同じように気遣うことができなかった自分の関わりを後悔しました。 Aさんとの関わりで学んだ事を忘れず、患者さんの内面に目を向けて真摯に誠実に寄り添うかかわりをしていきたいと思います。

『看護師として働いて1年…身体面だけでなく精神面にも目を向けていきたいという発表でした。』